前佑囲斗投手(メルボルン/オリックス)インタビュー☆「コントロールを磨いて、来季は勝負の年に」

photo:ABL Media

プロ入り4年目の今季、初めて一軍に昇格し、そのマウンドも経験。来季の一軍定着に期待を込めて、ABLメルボルンへ送り出された。メルボルンでは中継ぎとして登板を重ねる前投手にここまでの成果、チームメイトとのことなど話を聞いた。

 

1つ1つアウトを取る

――オリックスでは今季、初めて一軍のマウンドを経験しました。そこで感じたことを踏まえ、ABL派遣が決まったとき、どんなことをここ(ABL)での目標にしましたか?

今季、NPBでは二軍で多くの試合を経験させてもらった(※40試合39イニングに登板)うえ、一軍でも投げさせてもらう(※2試合2イニング)ことができました。それに加えて、このABLに来て、他の選手よりも多く試合経験を積ませてもらえるわけですから、その分の体力アップと、今季の課題だったコントロールを磨くことを目標にしてきました。

――実際、ABLで投げてみてどうでしたか?

日本とは環境も違いますし、(南半球のオーストラリアは日本と逆の季節ながら)初めはまだ寒さもあって、前半はしっかりコースに投げ分けることができましたけれども、まだ(ストライクが)決まるコース、決まらないコースがはっきりしていました。後半に入って、どれだけはっきりしたボール球を減らせるかが課題になってくると思います。

――そのためにピッチングの中で意識するのはどんなところですか?

ここ(第3ラウンド)までの試合でも、2アウトを取ってからのフォアボールが多かったんです。2アウトを取って安心するのか、どこか心の乱れが出ているのか。最後のアウトを取るまで気持ちを切らさず、「1つアウトを取る」ことをより意識して投げられれば、2アウトを取るまでと同じようなピッチングができるのではないかと思っています。

――ABLの野球、選手については、ここまでどんな印象を持っていますか?

みんな、いつも楽しそうに野球をしている雰囲気が、とてもいいなと思います。エイシズはオリックスと同じように中継ぎ陣も充実していて、全体的に投手陣がいいんですよ。とても頼りがいのある選手が多いなと感じています。

 

通訳なしでの会話を心掛けています

Q:エイシズのユニフォーム、どこが好きですか?
A:背番号「21」。普段付けない番号なので、新鮮味があっていいなと思いました。

――チームでは、誰と仲良くなりましたか?

マイケル(ブリュワー)、ジョーイ(スティール)、エヴァン(ラッツキー)がよく話しかけてくれます。最初のころに、変化球の握り方などをお互い教え合ったところから仲良くなりました。

――その中で、何かヒントになったことはありましたか?

「ツーシームを覚えたいな」と考えていたこともあって、彼らの握りを教えてもらったとき、「こういう握り方もあるんだな」と思いました。今は自分なりの握り方で試していますが、それがどうしても使えなかったら、彼らに教わった握りも試してみようかな、と考えています。

――メルボルンで初めてお会いした前投手にこんなことを言っては失礼ですが、見ていてクールというか、口数の少ないイメージがありました。こちらの選手は非常におしゃべりな感じですが、そのへんは……?

自分がクールかどうかは分からないですが……(笑)。でも、みんなからすると(日本人は)新鮮ということもあってか、とてもよく話しかけてくれるので、自分も少しでも英語を覚えて通訳なしで会話ができるように、とは心掛けています。そうしたことも、ここでは楽しみながら勉強になると思って、意識していますね。

――ABLで得たものを日本に持ち帰り、来季はどんな年にしたいですか?

来季は自分にとっても非常に大事な年、勝負の年になると思っています。今季のように2試合だけの一軍登板に終わらないよう、開幕一軍でスタートできるように、ここでしっかり投げて、キャンプからアピールしていくつもりです。

 

profile
まえ・ゆいと●2001年8月13日生まれ、三重県出身。津田学園高から2020年ドラフト4位でオリックス入団。182cm90kg。右投右打。プロ入り4年目の今季は6月8日、一軍に初昇格し、11日の横浜DeNA戦でプロ初登板、14日の阪神戦で近本光司選手からプロ初奪三振を記録した。

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