オークランド・トゥアタラのトライアウトに41人がチャレンジ

トライアウト前、参加者に説明を行う清水さん

10月24日、千葉県君津市の日本製鉄君津球場で、オークランド・トゥアタラのトライアウトが行われた。

今回のトライアウトは元千葉ロッテマリーンズの投手で、現在トゥアタラの日本地区統括責任者に就く清水直行さんの発案で決まった。2014年から17年までニュージーランド野球連盟のGM補佐や代表チームの統括コーチを務め、トゥアタラの設立にも深くかかわった清水さん。

「ニュージーランドと日本は国際関係も良好。また野球の面に関していえば、彼らは日本の野球を非常にリスペクトしてくれています。トゥアタラが日本野球の良さを取り入れて、さらに強いチームになると同時に、日本球界の若い選手たちも国際交流を通して人間的にも大きくなってほしい。今日(のトライアウト)だけでなく、これをきっかけにお互いが深くかかわりあって、何か良いものを作り出し、積み上げていけるようになればいいですね」と、今回のトライアウトの意義を語った。

トライアウトへの参加資格は、「満18歳以上25歳まで」「投手のみ、年齢を問わず実績、経験豊富な方」。この資格を満たした41人(投手23人、野手18人)が、24日の実技試験に臨んだ。トゥアタラ側からは清水氏に加え、リーガン・ウッドCEO、スティーブ・ミンツ監督をはじめ数名のスタッフが来日し、審査を行った。

トライアウトの種目は、ポジション別に以下の通り。

 

●投手
① 塁間の距離(約27.4メートル)をダッシュ(タイム計測)×2本

② フィールディング

③ ブルペンでピッチング×15球

→この結果、7人が最終テストへ

 

●野手
①打席でスイング後、一塁へ走る(タイム計測)×2本

②フィールディング

③ バッティング

→この結果、9人が最終テストへ

 

●最終テスト
投手7人、野手9人で、試合同様カウントを取っての対戦形式

 

すべての種目終了後、最終テストに参加した16人がベンチに集められ、清水氏から今後の流れについて話があった。

トライアウトの結果は、1週間程度で決定する。まず合格者として発表されるのは、22/23シーズン開幕からチームに加わる選手。ただしそこで漏れても、シーズン途中からバックアップとして呼ばれる可能性もある、とのこと。

ウッドCEOはトゥアタラに欲しい選手、そして彼らに寄せる期待を、こう語った。

「投手ならコントロールが良く、ストライクがズバズバ取れる選手。日本人特有の技術を持った選手ですね。野手はここ(トライアウト)で打つだけでなく、実際にABLの投手たちが投げる150㌔超の速球をきっちり打てる選手に来てもらいます。日本人選手は総じてレベルが高く、勤勉で一生懸命プレーする。様々な国籍の選手が所属して一つのチームを作るトゥアタラの中で、日本人選手は非常に大きな役割を果たしてくれます。今回のトライアウトで合格した若者たちには、このABL野球、海外生活で人生経験を積んで成長し、将来に生かしてほしいとも願っています」

トウァタラは今季、地元のスター選手をはじめ、MLBボストン・レッドソックスで活躍した台湾のスター、リン・ズーウェイ内野手、元巨人ほかの村田透投手、MLBパドレス、レンジャーズ、ナショナルズ傘下の若手選手がロースターに名を連ね、躍進が期待されている。

ABLの22/23シーズンは11月10日に開幕。トゥアタラはオーストラリア・ブリスベンに遠征し、バンディッツと開幕カードの4連戦を戦う。

 

トゥアタラ関係者の日本滞在記

トライアウトに先立ち、読売ジャイアンツの球団事務所を訪問。ニュージーランドの野球事情やトゥアタラの外国籍選手受け入れ状況などについて説明し、巨人からの若手選手派遣の打診を行なった。歴史と伝統ある人気チームだけに、継続的な協力体制が得られれば、トゥアタラのみならずニュージーランド野球の発展にも寄与するだろう。「すぐの実現はなくても、近い将来に期待したい」とウッドCEO。
トライアウト前日は、美味しい天ぷらに舌鼓を打ったそうだ。

右からウッドCEO、1人おいてミンツ監督、清水氏

君津市とニュージーランド

今回、トゥアタラのトライアウトの会場となったのは、千葉県君津市の日本製鉄君津球場。君津市は2020東京オリンピック・パラリンピックでニュージーランドのホストタウンを務めるなど、ニュージーランドとの縁が深い。過去にも1995年から97年には市民代表視察団を派遣、97年から2012年は市内中学生のホームステイ、2017年から19年には市原市との連携により女子ソフトボールニュージーランド代表のトレーニングキャンプ受け入れで国際交流を図っている。第1回のトライアウトが成功裡に終わり、「次回以降もぜひ、君津で開催したい」とトゥアタラ関係者からは感謝の声が上がった。

君津市の花、ミツバツツジをモチーフにしたマスコットキャラクター「きみぴょん」のぬいぐるみと地元の銘酒がトゥアタラ関係者に贈られた

 

君津市の石井ひろ子市長(中央)が球場を訪問

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