横山楓投手(メルボルン/オリックス)インタビュー☆「決め球を磨いて帰りたい」

テークバックの小さい、独特のフォーム。ABLでも「耳の横からボールが出てくるみたい」と、話題になった。変則フォームと変化球を武器に、メルボルンではクローザーとして投げる。メルボルンの勝利のために、そして来季の一軍での活躍のために腕を振る、横山投手の“今”は?

 

モイランから決め球を伝授

――NPBでは今季、一軍4試合を経験しました。そこで感じたことから教えてください。

昇格したタイミング(9月末)も、既にチームの優勝が決まったあと。だから自分の実力で、何か手ごたえがあって上がったわけではなかったんですね。案の定、4試合のうち1試合は打たれて、二軍でも悪かった“ストライク率と決め球”という課題が露呈しました。

――それからABL派遣が決まり、ここでの目標をどこに置きましたか?

渡豪前、ピーター・モイラン(元メジャーリーガー、WBC豪州代表、現メルボルン投手コーチ)の存在を教えてもらったんです。動画を見ると、確かにチェンジアップやシンカーなど、落ちる系の変化球をよく投げていました。今回、ABLでの一番の課題は決め球を身に付けることだったので、「モイランに(決め球を)教わってくる」ことが一つの目標になりました。

――実際、教わったのですか?

いろいろ教わって投げてみた結果、「今のフォークと、シーズン中あまり使っていなかったカットボールを磨いたほうがいいよ」と、モイランにはアドバイスされました。それをABLの試合で試してみています。今は投げ始めなので、いい球があったり悪い球があったりですが、練習をしていけば通用するんじゃないかという手応えは感じています。

――とはいえ第4ラウンドまで7試合に登板し、防御率0.00。クローザーに抜擢され、きっちり抑えていますね。

結果は考えないようにしています。僕は前半戦、ケガで投げられなかった分、本来実戦の中で練習できないこの時期に、試合数が稼げるのはありがたいこと。本当にいい11月、12月を送れていると思っています。

 

切り替えの早さにビックリ

Q:エイシズのユニフォーム、どこが好きですか?
A:色。高校も大学も紺がベースでした。シンプルで、好きな色です。

――ABLの野球や選手についての印象は?

全体的にレベルは高いし、日本の野球とはまた違った自由な雰囲気の中で練習できるのも面白いですね。バッターについては、「振ってくるな」というイメージ。だけど、僕が思っていたより変化球に強いですね。日本ではよく、「外国人選手はフォークボールに弱い」といわれていますが、(ABLでは)しっかり決め切らないと空振りが取れません。自分の球がまだきちんと落ちていないせいもあるのでしょうが、そこはとてもいい練習になっています。

――野球以外の面でも、今回のABL参加で「面白い経験をしているな」と思えるところはありますか?

僕、今まで海外は台湾にしか行ったことがなかったんです。アジア以外は初めてだったので、言語の違いも、日本人にはない彼らのフレンドリーさや明るさもとても刺激的で、楽しいですね。あとは、切り替えの早さ。みんな、すごいです。試合中メッチャ切れてるのに、試合が終わったらもう普通に仲良く話をしている(笑)。勉強になるというか、「メリハリは大切だな」と改めて感じました。

――来季はNPBで、どんな横山投手をアピールしたいですか?

オリックスには真っすぐの強いピッチャーが多い中、自分のセールスポイントは変化球だと思っています。一軍の投手陣に食い込めるだけの球を投げていかなければならないので、オフはしっかり筋トレにも取り組んで体を大きくし、「おっ」と思われる部分を作って来季に臨みます。

よこやま・かえで●1997年12月28日生まれ、宮崎県出身。宮崎学園高から國學院大、セガサミーを経て2022年ドラフト6位でオリックス入団。181cm91kg。右投両打。プロ2年目の今季は9月30日の東北楽天戦でプロ初登板、その試合で浅村栄斗選手からプロ初奪三振を記録した。

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