第91回都市対抗野球大会優勝!!小野大夏投手(Honda/Adelaide)インタビュー

今季は長いイニングを投げること。
そして絶対、プロに行きます!!

都市対抗野球大会1回戦(対大阪ガス)で力投する小野投手(写真提供:Honda硬式野球部)

2019年、ABL開幕から12月24日までアデレード・ジャイアンツで奮投した小野投手。名前の「大“夏”」から「サマー(summer)」のニックネームで親しまれました。社会人3年目の20年は、プロ野球ドラフト候補に名前が挙がりながら、指名漏れ。その後の都市対抗に悔しさをぶつけ、優勝メンバーの一員となった小野投手にこの1年間を振り返ってもらいました。

2020年はつらすぎる1年に……

――まずは都市対抗優勝、おめでとうございます。

「ありがとうございます。チームは優勝したけれども、僕としては“優勝させてもらった”ような気持ちです。自分が優勝に貢献したとは全く思っていないので……」

――今回の都市対抗では、どういう場面で行くことになっていたのですか?

「毎試合、ブルペンで準備はしていましたが、調子が良くなかったので、初戦のあとは投げるまでにはいきませんでした」

――調子が悪かった、とは都市対抗の期間中のこと?

「去年はずっと、ですね。調子のいい日がなかったというくらい、一度も納得のいくピッチングができなくて、去年1年、本当に苦しかったです」

――そんな中で、都市対抗の1回戦(大阪ガス)は1イニングを抑えました。

「自分自身、不安をもちながらマウンドに上がりました。なんとか0点に抑えられたのはよかったんですが、納得いくピッチングは全くできませんでした」

――確かに先頭バッターにいきなりライト前ヒットは打たれましたが、次打者を二ゴロでダブルプレー、そして空振り三振、と結果的に3人で抑えました。悪いなりに対処できたのでは?

「調子が悪いなりにどういうピッチングをしていこうか、ということをずっと考えていたので、それはできたと思います」

――去年1年を通じて悪かったのは、どのあたりでしょうか。

「球速も出ませんでしたが、一番は球の勢いがなかったことですね。ストレートでガンガン押していける感じが全くありませんでした」

――原因は?

「まず春先の調整がうまくいかなかったですね。それから、去年は自分の中で“絶対プロに行くんだ”と。“行かなくてはいけない”ぐらいに思っていたんです。練習にも試合にもスカウトの方がいらして、いいところを見せたくて、どうしても力が入ってしまいました。なのに調子が一向に上がらず、プレッシャーばかり感じていました」

――その苦い経験から、逆に得たものはなんでしょう。

「プロが目標であることは変わらないので、スカウトの方が来ても背伸びせず、ありのままの自分を見てもらえるようにしないといけないですね。あと、去年都市対抗で活躍した朝山(広憲)さんのほうが、明らかに僕より練習量が多かったんです。実際見ていてそうでしたし、自分自身も練習が終わって帰るとき、“この(練習)量でいいのかな”と感じることが結構多かった。まだ余力がある状態で、“もう少しできたな”と感じていました。

もちろん練習は量だけが大切ではないですが、その量でプロに行けなかったわけですから、やはり足りなかったということではないか、と。例えば変化球も自分の場合、どんどん投げたほうがつかめるので、そういう部分も足りなかったのではないかと思っています。今年こそ絶対プロに行きたいので、もっともっと練習を頑張っていこうと思います

 

オーストラリアが懐かしい!

アデレードでの小野投手  PHOTO: Ryan Schembri / SMP IMAGES / Baseball Australia | Action from the Australian Baseball League 2019/20 Round 1 clash between Adelaide Bite vs Brisbane Bandits played at Adelaide Shores Baseball Complex, West Beach, South Australia

――ABLでアデレード・ジャイアンツの一員として投げてから約1年経ちましたが、今も懐かしく思い出されるのはどんなこと?

「ちょうど今ごろの時期だったから、SNSを見ながら懐かしいな、楽しかったなと思い出していたんですよ。もう一回、チームのみんなに会いたいなあと思います。向こうでは結構毎試合後ろで投げていたので、試合中はブルペンにいることが多かった。ブルペンでの会話が面白かったですね。日本と違って、皆ブルペンで試合はほとんど見ずに遊んでいるんですよ」

――日本では、ブルペンにいるときから「試合に入っているように」って感じですよね。

「少なくとも相手バッターはちゃんと見ていますよね。あまり緊張しすぎていてもよくないと思うので、(日本でも)軽く話はしていますが……」

――日本で誰か、ブルペンでの姿勢を見習いたい人はいますか?

「キャプテンの福島さんを見ていると、勉強になります。キャッチボールも胸にしか来ないし、ブルペンに入ってもただ投げるのでなく、相手バッターを想定しながら投げています。力の入れ具合も、実際のマウンドと変わらないですね。自分の場合はバッターもいないし、試合と同じようには投げられないので、福島さんのそういうところを見てすごいなと思っていました。自分もこれからはブルペンで福島さんのように声を出しながら投げるか、もう少し気合を入れて試合に近い形で投げていったほうがいいかなと考えています」

――ドラフトのときは、「(プロの)中継ぎ候補」として名前が挙がっていましたが、そのあたりはどうですか?

「去年は(自分の投げるポジションについて)、そこまで考えていませんでした。でも今年は今から結構球数を投げ始めています。まだ監督やピッチングコーチとしっかり話はしていませんが、自分としては先発でいきたいと思っています」

――それは、どういう思いがあって?

「去年、スカウトの方々と面談があって、いろいろ話をさせていただいたんです。そのとき、“若いんだから、今は先発をやって、長いイニングを投げられたほうがいいよ”とか、“(プロに入ったら)最初から抑えじゃなくて、最初は先発の練習もしてもらうよ”と言われました。だからプロに行ってから始めるのでなく、プロに行く前から投げられるようにしておきたいなと思いました」

――先発で長いイニングを投げるためには、何が必要ですか?

「スタミナはもちろん、変化球でどれぐらいストライクが取れるか、ですね。先発になれば、球数を抑えるためにも打たせて取ることが必要なので。変化球の精度、コントロールが大事になってくると思います」

――去年の苦しさをプラスに、今年はパワーアップした小野投手が見られそうですね。

「はい、自分自身、去年は本当につらかったので同じ思いはしたくないし、今年こそはチームの優勝にも貢献したいです」

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