キース・ウォード監督(キャンベラ)インタビュー☆「選手全員のことを知り、一人ひとりを理解し、国も言葉も違う選手たちを一つにまとめるのが私の第一の仕事」

キャンベラ攻撃の際は、いつも三塁ベースコーチに立つウォード監督(photo:ⒸABL Media)

 

横浜DeNAベイスターズがキャンベラ・キャバルリーと戦略的パートナーシップを結び、初めて選手を派遣した2018/19シーズンからずっと、キャンベラの監督として日本人選手たちを見てきたキース・ウォード監督。日本人選手について、ABL監督としての仕事についてお聞きしました。

 

昇太は抜きん出ていた選手の一人

――キャンベラの監督として、これまでベイスターズの選手を何人も受け入れてきて、技術面であれ人間的なキャラクターであれ、印象に残った選手はいますか?

大勢いますよ。皆、良い選手ばかり。とても真面目に野球に取り組むし、高い技術を持っていました。我々のチームのプラスになる面ばかりでした。ほとんどの選手はABLで試合経験を積んで日本に帰り、NPBの一軍で活躍できるように、という目的で来ていました。その中では、(今永)昇太は抜きん出ていた選手の一人でしたね。昇太と同じ年に来た三上(朋也)もウチのチームの力になってくれました。皆、チームに良い影響を与えてくれた選手ばかりで、まだまだ名前は挙げきれません。

ベイスターズは毎年、実に良い選手を派遣してくれています。彼らが派遣してくれる選手の何より良い面は、皆良きチームメイトになってくれること、オーストラリアの文化に慣れ親しんでくれることです。球場にいるときはいつも楽しそうで、なおかつ闘志とプロ意識を表に出してくれます。

今季来た選手でいえば、(東妻)純平は、とても良いシーズンを送っています。打撃は好調で、(本来のポジションは捕手だが)ファーストやレフトの守備にもよく適応しています。彼のキャッチングの上手さは知っているけれども、ファーストとレフトでプレーする時間を増やすことは彼の将来にとってもいいことで、一軍でプレーできる可能性を広げることにもなります。また、(徳山)壮磨はいずれ、横浜のスーパースターになると思いますよ。若いのにとても良い投手だし、成熟した選手です。

――徳山投手にインタビューしたとき、とてもよく考えている人だなと感じました。

そして集中力も非常に高い。たぶん、今まで来た選手の中でも物静かな部類に入ると思うんですよ。クラブハウスでもダグアウトでも、彼が集中して何かしているときは、彼がいるのに気が付かないこともあるくらい集中していましたね。

――横浜から来た選手ではないですが、濱矢(廣大)投手、迫(勇飛)投手についてはいかがでしょう。

廣大はNPBでの経験もあり、成熟していて、練習熱心で、謙虚で、尊敬できる選手です。チームにもとてもよくフィットしてくれているので、今後もチームに留まってくれればいいと考えています。ここ数年、彼は野球選手として世界中を飛び回って数多く投げてきたので、今季は少し疲れもあったはず。キャンベラに腰を落ち着ければ、チームの勝利に貢献してくれる姿をさらに長く見ることができると思います。

勇飛は明るい、“ハッピー・ガイ”。昨季も今季も、われわれのためにとても良いピッチングをしてくれました。今、我々は彼に長期的に先発投手として活躍してほしくて、そのためのチャンスを与えているところ。実際、12月20日の先発登板(対シドニー)では、これまででも最も長いイニングを投げ、とてもいい仕事をしてくれた。今季の残り試合はもちろん、来季もまた彼にはチームに加わってほしいと思っています。

勇飛はとても良きチームメイトであり、他の日本人選手同様、熱心に練習し、謙虚で尊敬できる選手。試合に向けての準備の仕方も心得ていますね。彼はキャンベラのチームメイトをとても気に入っているし、チームメイトからも愛されています。彼に限らず日本人選手は皆とても素直で温かく、フレンドリーな人ばかり。オーストラリア人はもちろん、アメリカや韓国から来た選手たちにも、なじみやすく、愛される選手ばかりです。

――ABLで好成績を残した日本人投手に共通する点はありますか?

一つでなく、セットになったものがありますね。制球力があって、攻めのピッチングができて、カーブ、スライダー、チェンジアップ、スプリットフィンガーなど複数の変化球を操り、打者のタイミングを崩すことができる。皆球速もあるし、剛腕で、テンポよくストライクを投げ、四球も出さないから、とにかく得点を奪うのが難しい。若いころから「肩に負担のかからないフォームでストライクを投げる」ことを教わっているからでしょう。だから日本人投手が投げる試合は、チームとしては勝てるチャンスになってきます。

 

ハードワークの手本を自分が見せる

――次に監督としての仕事についてお聞きします。他のチームでも監督は皆、バッティング練習の際のピッチャーを務めていますが、ウォード監督はそれだけでなく、自ら整備車に乗って、グラウンド整備まで行なっていますね。

少しずつですが、なんでもやりますよ。ウチは小さな所帯だから、私の仕事は他の監督とはおそらく違っていると思います。いろいろな仕事をしなければいけないけれども、選手たちの手助けができるから、楽しくやりがいもありますよ。彼らが練習をし、試合の準備をすることを手助けする。そして選手たちが人間的にも選手としても、より良く成長できるように手助けする。そのためにも私自身が見本となって、私がどれだけのハードワークをしているか、選手に見せる。そして選手たちも、私と同じようにハードワークをしてくれることを願っています。

しかし監督として最も大きな仕事は、選手全員のことを知り、一人ひとりの個性や性格を理解し、国も言葉も違う選手たちを一つにまとめること。皆が笑顔で一生懸命プレーし、球場に来ることを楽しみにできるよう、またお互いのためにプレーできるようにすることだと考えています。コーチングやバッティング練習は、その次ですね。なぜなら、選手も皆そこはだいたい理解しているから。お互いの文化を理解し、一人の人間として理解し合えれば、皆にとって心地よいチームになる。そうすればより良いプレーができるようになると思うし、毎日球場に来てチームメイトと一緒にいるのが楽しくなって、一生懸命プレーすると思うんです。

――選手たちも、ウォード監督と一緒にプレーできて幸せだと思っているでしょうね。

そうだといいですね。私が彼らをハッピーにすれば、彼らも私をハッピーにしてくれる。それは、双方向ですよね。何より彼らが毎日球場に行きたいと思ってくれて、ここで野球ができることを楽しみ、一生懸命プレーしてくれれば、私はいつもハッピーです。

――最後に一つ。監督の奥様は、ホームゲームのとき毎試合応援に来ていらっしゃいますね。奥様は監督を愛しているのか、野球を愛しているのか、どちらでしょう?(笑)

両方ですね(笑)。私たちは私の現役時代、野球を通じて知り合いました。私が冬の間、キャンベラから2時間半かけて野球をしに行っていたことがあって、そのとき彼女の家族がそのチームに関わっていたんです。そこで彼女の家族と知り合って、それから彼女と友達になり、やがてお付き合いが始まりました。キャバルリーができたのはそのあとです。彼女は今や私の一番のサポーターであり、チームの一番のサポーターですね。晴れの日も雨の日も、どんなに暑い日でも彼女はスタンドに来て、私とチームを支えてくれます。おかげで私は仕事がしやすいです。

――日本もそうですが、だいたい監督の奥様はメインスタンドとか特別な場所に座ることが多いと思います。でもウォード監督の奥様は、(ホームの)三塁側一般席の一番端っこにいつも座っていらっしゃいますね。

そこが彼女のお気に入りの場所なんですよ。試合も私のことも、よく見ることができるから(笑)。私が怒っているのか、イライラしているのか、喜んでいるのか。私のその日の気分が分かるから、私が家に帰ったとき試合の話をするか他の話をするか、あるいは寝たふりをするか決められるのもいいみたいですね(笑)。

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