☆宮國椋丞投手(キャンベラ/横浜DeNA)インタビュー☆ 来季、チームのために仕事ができるよう、ここへ来ました

ⒸSMP Images/ABL Media

2021年8月、育成選手契約から支配下選手登録され、3試合に先発。翌22年は主にロングリリーフとしての起用となったが、8月下旬に抹消されてからは一軍に上げることなく、シーズンを終えた。まだ30歳とはいえ、プロ生活11年目。オフのルーティンができているであろう今、なぜ敢えてABL派遣に手を挙げたのか。

 

「実戦」でしか得られないものを求めて

――今年、ABL派遣に手を挙げたのはどんな理由からですか。

ウインターリーグに興味があったからです。当初は中南米のウインターリーグに行こうかとも考えたのですが、最終的にオーストラリアABLに参加することになりました。

――ご自身の何か、変えたいところがあったのでしょうか?

自分のためというのはもちろんですが、やはり、チームのための戦力になりたい。それだけです。

――それが、ここに来ることによってプラスになる、と?

まず野球と向き合える時間を、少しでも多く取りたかったんです。日本にいると、やはりそういう時間が多少なりとも減ってきますから。そのうえで野球のスキルアップも含めて、自分の中に何かが得られればと思いました。

――これまで11月、12月はどういう過ごし方をしていましたか?

12月にはもう、自主トレを始めていました。でも今年は、とにかく実戦を取り入れたかったんです。

――日本で何か投げ足りなかった部分があったとか?

トータル的には一軍でもファーム(二軍)でもケガなく離脱せず投げることができましたが、確かに一軍で投げ足りなかった気持ちはあります。

――この時期に実戦をする意味をどう感じていますか?

バッターに向かって投げることで得られるものは多いですし、自分だけでトレーニングをしているよりスキルアップできる実感もあります。「対バッター」というところを意識できるのは、やはり実戦だけだと思いますから。

――実際ABLで実戦を積んでみて、今の体に手応えといいますか、いつものシーズンと比べて違いはありますか?

シーズン中よりだいぶ体も楽になってきているので、そこは継続していきたいですね。継続していくところと強化していくところ……特に柔軟性の部分など課題のある面は1月、2月と強化しながら、シーズン開幕に向けてのプランを考えています。

 

自分の“引き出し”に詰めたABL土産

――キャンベラのチームメイトの中では、誰と特に仲よくしていましたか?

ピッチャー陣は結構みんな仲がよくて、特にブルペン陣とは毎日一緒にいました。

元巨人のチームメイト・陽岱鋼選手(現ブリスベン)と談笑

――何か日本のことを聞かれることはありました?

みんな結構、聞いてきましたよ。「日本の野球は素晴らしい」という印象を持っている選手が多くて、正しく伝わっているかは分からないですけど、日本の野球のこともいろんな選手に話しました。

――野球の技術的な面で、例えばこの球種はどういう握り方をしているのか、どういう投げ方をしているのか、など教え合うことも?

みんなと「フォークボールはどうやって握っているの」とか「カットボールはどうやって握っているの」とか、情報交換的な会話は序盤、結構ありました。

――そこで何かヒントになったこと、実際使うかどうかは別として何か自分の引き出しに入ったものはありましたか?

球種の握りやピッチングの考え方を、いくつも聞くことができました。でもそれは人によって合う、合わないといったこともあるので、自分なりに解釈して取り入れたり、自分の引き出しに入れておいたりするつもりです。

――ABLでは12試合17イニングを投げ、防御率0.00の成績でした。対応を工夫できた部分、ここが上手くいっていたというところはどんな面でしょうか。

気候条件によっては、(日本とは異なる)ボールにうまく対応できないこともありました。ただ、その中でもストライク先行で、少ない球数で投げることはできたと思います。日本のバッターとは相手も違いますが、ゾーンで勝負できるボールなど来季に向けて手応えを感じた部分もありますので、これからも工夫を続けていきたいです。

――来季はDeNAで、どんなポジションを勝ち取って投げていきたいですか?

チームにおける自分の位置づけとしては、もう後がないと思って、常に危機感をもっています。そういう意味でも、1試合でも多く一軍で投げられるように準備し、「行け」と言われたときに、どんなポジションでも万全の態勢でマウンドに上がりたいと思います。

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