☆三浦瑞樹投手(メルボルン/福岡ソフトバンク)インタビュー☆ 「来年は必ず一軍で投げる」その覚悟をもって、ここに来ました
2022年の育成ドラフト4位で、福岡ソフトバンクホークスに入団した左腕。今季はウエスタンリーグで11試合に登板し、防御率2.60で4勝を挙げた。ソフトバンクでは2011年、育成1年目の牧原大成選手をABLブリスベンに派遣、翌年支配下登録を勝ちとった前例もある。牧原選手に続くか。(取材は12月2日)
3日間考えて渡豪を決めた
――ABL派遣を球団から告げられたとき、まずどう思いましたか?
二軍での試合登板が終わって、ロッカーに向かうときに呼ばれて、「オーストラリア、どうだ?」と聞かれたんです。ただ、そのときは即座に「はい」とは答えられず……。
――そうだったんですか。
球団に3日ほど時間をいただいて、いろんな方に話を聞きました。そこで「滅多に行ける場所じゃないし、行かせてもらえるということは期待されているからじゃないか」という言葉をいただいて、最終的に決めました。
――最初迷ったのは、すでにオフのトレーニングを考えていたとか?
そうです。シーズン中からずっと、ストレートの球速を上げることを課題にしていて、秋のキャンプでも下半身を鍛えたり筋量を上げたりしてきました。日本でオフもそのトレーニングを続けたかったので、最初はすごく悩んだんですが、オーストラリアでもそれを続ける環境があると聞きました。それに、こうしてメジャー経験者も含むABLの選手に対して投げられるのは貴重な時間になるなと思い、チャレンジすることにしました。
――ABLのマウンドやボールはどうですか?
球場によってマウンドの高さがバラバラだなと感じましたが、そこはなんとか対応しています。ただ、ボールは日本と違って滑りやすい感じがして、ちょっと大変ですね。ボールをこねたり、手汗でしっかり手になじませたりしてから投げています。
自分のストレートがどこまで通用するかが課題
――私たちから見た“外国人バッター”の印象はいかがでしょう。
こちちに来る前からずっと、若田部(ソフトバンク三軍)コーチに「外国人選手はストレートに強く、ストレートしか待っていない」「できるだけストレートで打ち取っていければ、上でも通用するぞ」と言われてきたので、まずは自分のストレートがどこまで通用するかを、ここでの課題にしてきました。
――今実際、ストレートを意識して投げていますか?
ストレート中心で、時々変化球を交ぜています。ストレートを待っているバッターに対してストレートを投げて、現状それでファウルも取れているので、自分の中ではいいかなと思っています。ただ、それが少し甘くなると長打を打たれてしまうので、そこは常に気を付けています。
――これまでの対戦で(取材は第4ラウンド前)、一番印象に残っているのは?
どのバッターというのはありませんが、やはり打たれているのは、ストレートが甘く入った球でしたね。外国人バッターの特徴を、身をもって感じました。
監督のひと言は「何も言うことがない」
――エイシズは監督が元MLBブレーブスほかで活躍したピーター・モイランさん、投手コーチは元MLBヤンキースなどで活躍したグレアム・ロイドさん。何かアドバイスはもらいましたか?
監督やコーチが話してくれている内容が、直接は分からないので……(苦笑)。ただ、通訳の(上田)徹平さんを通して「何も言うことはない、悪いところはあまりない」と言われました。
――それはある意味、すごいことじゃないですか!
そうですね。ブルペンで投げていたとき、僕が投げ終わらないうちに監督がグラウンドに戻ってしまったんです。それで徹平さんに聞いたら、「何も言うことがないから帰る」と言っていた、と(笑)。
――誰かチームメイトとは、絡めるようになりましたか?
背番号25のジョージ・カリル内野手が日本語をしゃべれるので、彼とはよく話していますし、頼りにしています。時々球場の売店に何か買いに行くんですが、頼み方がよく分からなくて、最初はついてきてもらいました(笑)。あとは、こちらの審判員のストライクゾーンの話とか……。
――日本より広いといいますね。ABLだけでなく、オーストラリアの文化で驚いたとか面白いなとか素敵だなと思ったことは?
やはり野球になってしまうんですけれども、球場の狭さに驚きました。日本だと両翼100メートルほどはあるんですが、ここ(メルボルン)の球場は90メートルぐらいしかないと聞いています。
――打球が上がったら、あっという間に入ってしまう?
そうですね。風のある日に(打球が)上がったらホームランということが、この前もあったので。本当にボールの高さには気を付けなければ、と思いました。
――残りのオーストラリア生活で、何をコンプリートして帰国し、来年につなげたいですか?
最初にも話したように、こちらに来たのはストレートの球速、勢いを上げることが目的だったので、そこを残り試合や練習でしっかり見直して、来年のキャンプにつなげていきたいと思います。「来年は必ず一軍で投げるんだ」という覚悟でここに来た、その気持ちをますます強くもって、必ず支配下登録され一軍で投げられるよう、来シーズンに向けて準備していきます。