中村勝投手、オーストラリア生活まとめインタビュー!!【後編】
元北海道日本ハムファイターズ・中村勝投手が約1年にわたるオーストラリア生活を終え、このほど帰国しました。ブリスベン・バンディッツでのレギュラーシーズン終了後、帰国までのこと、そしてABLやオーストラリアでの生活を振り返っての話を伺いました。今回は、その後編です。
『郷に入れば郷に従え』で柔軟に受け入れることが大切
――これから中村投手のように個人でのABL参加を考えている日本人選手に、何かアドバイスをいただけますか?
「海外で生活したり野球をしたりするには、“自分の国の常識が常識じゃない”ことを考えられないといけないと思います。例えば今回の僕で言えば、“自分が投げる役割が分からなかった”こと。もちろん最初は“なんでなんだろう”と思いましたが、それをとやかく言ってもしょうがない。『郷に入れば郷に従え』で、なんでも受け入れるようにしました。NPBに来る外国人選手も結果、長くできている人は、そういう面で日本のやり方を受け入れている人ですね。もちろん自分のやってきたことにプライドを持つのは大事ですが、アップデートしていく部分も必要なんじゃないかと、日本にいたときから思っていました。流れに身を任せるというか、柔軟にやっていけたほうがいいんじゃないかと思います」
――シーズン終了後、オーストラリア観光はできました?
「一人でレッドクリフまで行ってきました。本当はヌーサというリゾート地まで行こうと思っていたんですが、ヌーサまで行くと遠いので近場でいいやと思って、半分くらいのところで……(笑)。レッドクリフにもちょっとしたビーチがあるし、ホテルも見つかったので、そこで2泊してきました」
――もうちょっと長い旅行をするのかと思いました(笑)。
「いやいや、1人なんで、そんなにやることもないですし(笑)。十分ゆっくりできました」
ウインターリーグでのホームランがいい思い出に
――約1年間のオーストラリア生活全体を振り返ると、一番の思い出はなんでしょう。
「コロナでロックダウンが始まって、ウインターリーグが開幕して……そうやって振り返ると、やはり一番濃かったのは野球をやっている時間でしたね。初めは全然感覚がよくなかったけれども、どんどん自分のパフォーマンスが上がっていくのが感じられて、楽しかった。また野球にのめり込むことができました。あと、ウインターリーグでホームランを打ったのは、結構いい思い出です」
――オーストラリア生活を経て中村投手自身、変わりましたか?
「先ほど話した一人旅にしても、こんなこと、1年前の僕はできなかったと思います。1人きりで、なんとなく気持ちが引けてしまうとか。旅行中、ちょっとした買い物に行って、店員さんに躊躇なく“これ、ありますか?”とか聞けました。相手のことを変に意識しすぎず、自分の意思表示ができるようになったのは、英語がしゃべれる、しゃべれないに関係なく、ちょっと成長できたところかなと思います。それからオーストラリアでの生活を通じて日本という国の素晴らしさ、NPBや球団がいかに洗練された組織であるかに、改めて気付くことができました。オーストラリアに来なければ、こんなこと考えもしなかったかもしれません。そういう意味でも、すべてがとてもいい勉強になったと思います」
【追記】
インタビュー時、「この先については、これから考えます」と話していた中村投手。2月22日、自身のSNSで、「縁あってメキシコのMariachisで野球が出来ることになりました」と公表しました。メキシコ第二の都市・グアダラハラを本拠地にするマリアッチス。今季、16チームから18チームに拡大されるメキシカン・ベースボール・リーグ(LMB)に新参入したチームで、元日本ハムのルイス・メンドーサさんがGMを務めているそうです。中村投手の新たな挑戦を、ABL Japanも応援します!