元北海道日本ハム・中村勝投手がブリスベンと2020/21契約!!

昨季まで北海道日本ハムファイターズに所属していた中村勝投手が、このほどABLブリスベン・バンディッツと2020/21シーズンの契約を結びました。バンディッツといえば、中村投手の元同僚・杉谷拳士選手が17/18年に所属していたチーム。滞在先のブリスベンで新シーズンに向け準備を進める中村投手に、現在の様子を聞きました。

 

「野球ができて、英語の勉強もできる」

――まずはブリスベン・バンディッツとの契約の経緯から教えてください。

「今年3月からブリスベンで語学学校に通いながら、サーファーズ・パラダイス・ベースボールクラブという地元のアマチュアクラブチームで野球をしていました(編集部注:GCBA=ゴールドコースト地域内でのウインターリーグ=に参加)。そこでの成績や動画、日本球界でのプロフィールなど、お世話になっている方を通してバンディッツに送ってもらい、最終的にバンディッツからオファーをいただきました」

――そもそも、今回オーストラリア行きを決めたのには、どんな思いや目標があったのでしょうか。

「もともと自分の中に、野球以外のいろいろな体験をしてみたいなという気持ちがあったんです。NPBを離れて、初めて自由な時間ができたというか……。“自分のために使える時間”を持つならこのタイミングしかないな、と思いました。いったんどこかに就職したら、そういう時間もなかなか取れないですよね。そのとき、以前(日本ハムの)杉谷(拳士)さんだとか、こちらに野球留学をした方々に聞いた話が頭に浮かんで、“野球ができて、英語の勉強もできるオーストラリア”に行ってみたいなと思いました」

――語学学校で英語の勉強をしようと思ったのは、今後の野球人生を思い描いてのこと?

「昨年戦力外になってから、野球だけを続けることには、そこまで魅力を感じていませんでした。野球もしつつ、それに何か自分の武器をプラスしていきたかった。もちろん1年ぐらい(英語を)勉強しても“武器”とまではいかないかもしれないですが、現役時代、海外で“もっと英語がしゃべれたらな”と感じた場面がよくあって、身に付けておいたほうがいいなとずっと思っていたのが英語だったんですよね。その英語を勉強できて、野球もできる。それは本当に魅力でした」

――語学学校は、ABLのシーズンが始まるまで通う予定ですか?

「1週間ほど前に、予定していたコースが終わりました」

――成果のほどは?

「例えば買い物に行って、“これはどこにあるの?”とか聞くことはできるようになりました。でも、自分の考えを英語の文章でしっかり表現するところは、まだまだ勉強中です」

――サーファーズのチームメイトとのコミュニケーションはどうでした?

「サーファーズは僕以外、全員地元の人(オーストラリア人)なんです。一方、語学学校は、僕と同じように世界中から留学してきた生徒ばかりじゃないですか。ネイティブではなく英語を勉強中の生徒同士の会話だから、分かりやすい半面、限られた範囲での会話になってしまうことが多いんですよ。また、先生たちもそれを考慮して、簡単な単語に置き換えてくれたり、聞き取りやすいスピードで話してくれたりするので、分かりやすい。でもチームメイトは会話のスピードも単語もまさにネイティブなので、最初は難しくて……(苦笑)」

――学校は学校で、グラウンドはグラウンドで、勉強になっているわけですね。

「はい、この年で学校に行けるなんてなかなかない経験なので、とても新鮮でしたし、ネイティブの英語もグラウンドで鍛えられました(笑)」

 

ABL開幕前に夏季リーグで調整登板

――オーストラリアの住み心地はいかがですか?

「ここ(ブリスベン)は特に、冬でも暖かいので暮らしやすいですね。あと、これは僕の主観ですが、僕ら外国人に対し優しくて、聞き取りやすく話してくれる人が多いように感じています。そのへんで、僕のように初めて海外で生活する人には向いている国なんじゃないかと」

――ところで、新型コロナの影響はどのくらい受けたのでしょうか。

「学校が始まって2週間で、ロックダウンが始まりました。ウインターリーグの期間も少し短くなって、試合数も減りました。ロックダウンの期間中は、基本的にはランニング中心で動いていました。キャッチボールは(ロックダウン中の活動としては)微妙だったので、たまにしかできなかったです」

――そんな中、海外で一人。孤独に感じたとか不安はなかったですか?

「今、シェアハウスに住んでいるので、家で全く一人、というわけではないんですよ。まあ孤独といえば孤独でしたけど……やはり日本より友達は少ないですから。でも全く誰かと会わないわけではなかったので、“これ、いつまで続くんだろうな”と思ったくらいで済みました」

――サーファーズのチームメイトもいましたもんね。

「そうですね。ただ、初めは僕自身なんかうまくチームに溶け込めなかったというか、 “お客さん”みたいなところがあったんです。でも結果を出していくにつれ、チームメイトがものすごく僕のことを認めてくれて、“ファミリー”の一員のように良くしてくれました。サーファーズとはもうすぐお別れですが、チームのみんなには今、とても感謝していますし、特別な思いが湧いています」

――さて、これから12月の開幕までは、どんなふうに過ごす予定ですか?

「このあと、GBL(Greater Brisbane League)と呼ばれるサマーリーグが始まるんです。レベルによってディヴィジョン1から5までに分かれていて、ディヴィジョン1にはバンディッツ傘下のウインザー・ロイヤルズというチームがあります。そのチームでABLの開幕まで、何度か調整登板させてもらう予定です。バンディッツの全体練習が始まれば、そこに参加しますし、空いた時間はバンディッツと提携しているジムでトレーニングをしたり、グラウンドでキャッチボールやピッチングをしたりすることになると思います」

――また全体練習が始まったら、様子を聞かせてください!

「はい、2週間ほどでユニフォームも届くはずなので、それもお見せできると思います」

 

このインタビュー翌日、GCBAのグランドファイナル、サーファーズ・パラダイス対ネラング・カーディナルスが行われました。中村投手はサーファーズの先発として5回を投げ、11対4でサーファーズが優勝!! お別れのあいさつが祝勝会になったそうです。有終の美を飾り、笑顔でお別れとなって良かったですね!!

(写真は中村勝投手提供。サーファーズ・パラダイスのチームメイト、スタッフと、グランドファイナルの記念に)

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