☆大貫晋一投手☆(横浜DeNAベイスターズ)インタビュー【前編】
ABLを経ての2020年は
「充実したシーズン」に
2019/20年、ABLキャンベラ・キャバルリーの一員としてフルシーズンを戦った、横浜DeNA・大貫晋一投手。帰国して迎えたNPBのシーズンで10勝(防御率2.53)を挙げ、チームの勝ち頭として活躍しました。ABL Japanでは大貫投手を「19/20ABLを経て最も成長を遂げた“AMVP”」に選出! お話を聞いてきました(インタビューは20年12月)。
オーストラリアでルーティンができた
――まずは2020年を振り返って。どんなシーズンでしたか?
「新型コロナ禍にあって、なかなか難しいシーズンになりましたね。個人的には開幕ローテーションに入れず、せっかくチャンスをもらった試合でもなかなか思ったようなピッチングができなくて、初めは正直“今季は厳しいかな”と思いました。その後もう一度チャンスをいただいて、なんとか生き残ることができました。そこからある程度安定し、自分のピッチングができたので、充実したシーズンになりました」
――何か一つカベをクリアした感じですか? あるいは一つ階段を昇った感じ?
「特別何かよくなったわけではないので、一つ上に昇ったような実感はないんです。ただ毎回(登板前に)いい準備ができて、試合にもすごく集中できた。それが1年目よりよかった点ではありますね」
――キャンベラでお話を伺ったときは、「スタミナ不足の解消」と「ルーティンをつくる」「対左打者のカットボールを習得する」ことを課題に挙げていました。それはどうなりましたか?
「スタミナについては、1年目より平均して長いイニングを投げられました。もちろんスタミナだけの話ではないと思いますが、初めて完投もできたので、“投げるスタミナ”というところは、ある程度ついてきたと思います。ルーティンは、オーストラリアにいる間にいいものがつくれて、それを日本でも繰り返しできたのがよかったですね」
――具体的にはどんなものですか?
「向こうにいたときから、トレーニングする日にちを増やすようにしたんです。1年間投げるスタミナを養うためにも、トレーニングを大事にしたいなと思いました。それまでは下半身、上半身を別の日に分けてやっていたんですが、全身を毎日少しずつトレーニングするメニューに替えてから、よくなったと思います」
自分の中に選択肢が増えた
――対左打者の被打率は、19年の.376から.233にグンと良化しましたね。
「オーストラリアで2カ月やったことが出せました。1年目までは逃げていくツーシームを得意球としていたんですが、ストライクを取りにいって浮いたところを打たれることがありましたし、左打者のインサイドにはなかなか思うような球がいきませんでした。でもカットボールを覚えて、昨季は結構左のインサイドを攻めることもできたので、よかったと思います。何より自分の中に選択肢が増えたことで、いろいろ柔軟に考えられるようになりました」
――ABLでの経験から、約1年。ABLに行ってよかったと今思えるのはどんな点ですか?
「まずオフシーズンもしっかり実戦をして、打者に対する感覚を養えたことは、大きなメリットだったと思います。プラス、向こうの文化に触れながら、英語の勉強も両立していい時間が過ごせました。帰国後もキャンプにスッと入れましたし、ケガなくシーズンを終えることができたのは、オーストラリアからずっとトレーニングと投げることの下積みをしてきたのがよかったのだと思います」
――その代わり、19/20年のオフはほとんどナシになってしまいましたね。
「それはあまり気にならなかったですよ(笑)。オーストラリアの野球は大らかというか……。おかげで気持ちの面でもラクだったし、楽しみながら野球ができましたから」
(後編につづく)