富山凌雅(メルボルン)投手インタビュー「調子は上々。日本に帰って早く試したいことだらけです」

PHOTO – Brett Fewson | SMPIMAGES.COM / ABL. Action from the 2019/20 Australian Baseball League (ABL) Round 1. Clash between the Canberra Cavalry and Melbourne Aces at MIT Ballpark in Canberra, ACT. This image is for Editorial Use Only. Any further use or individual sale of the image must be cleared by application to the Manger Sports Media Publishing (SMP Images)

オリックスからメルボルンに派遣された4選手中、唯一のピッチャーが富山凌雅投手。孤軍奮闘かと思いきや、バッテリーのコミュニケーションも問題なく、ぐんぐん調子を上げている。日本で待つ家族に対してはもちろん、ピッチング面でのお土産もたっぷり、抜かりなし!

――ABLで投げ始めてから、どんどん調子を上げているようですが、ご自分としてはどうですか。
「いろいろ試して、それが結構ハマってきている感じですね。僕は下半身の使い方にややクセがあったんですが、そのクセが少しずつなくなってきていると思います」

――それは、オーストラリアでの課題にしてきた部分でしょうか。
「そうですね。こちらに来る前、(オリックスの)コーチにも“何か見つけられたらいいな”と言われていたんです。19年は調子の波が大きかったので、その波を少なくして、安定感を出したいなと思っていました。それにはやはりコントロールが必要だと思い、一球一球、何を意識して投げるかということも課題に持って来たんです。そこが自分的にハマっている感じで、徐々に調子も上がってきました」

――環境への慣れではなく、富山選手自身のピッチングがしっかり固まってきたんですね。そういう意味では、自分のピッチングができれば、こちらのバッターは抑えられる。
「逆に言うと、グラウンド状況、マウンドの固さなど球場によっていろいろ違うし、あと、こっちのボールはめちゃくちゃ滑るので、それにまだちょっと慣れ切れていないですね。そこに慣れれば、もっといい感じで投げられると思います」

――縫い目の大きさもちょっと違うそうですね。
「またボール一球一球、全然違うんですよ(苦笑)。なのでボールを持ったとき、違和感があるんです。そこを自分の中でなんとかできれば、もっといいピッチングができるかなと思います」

――ピッチャーは繊細な部分がなければいけないけれども、あまり神経質すぎてもいけない。そのバランスが難しそうですね。
「難しいですね。あまり気にしないのが一番なんですが、ピッチャーってみんな、何かしら気にすると思いますよ。こっちのロジンも日本と全然違って、滑り止めの役には立っていない感じで……(笑)」

――かなり鍛えられますね(笑)。
「だから今は日本に帰ったら、どのくらい投げれるんだろうっていう期待のほうが大きいです。今はボールをかなり気にしながら投げているので。日本に帰ったら、それを気にせず投げられるわけじゃないですか。そのとき、どれだけバッターに集中してミットを目掛けて投げられるか。それは早く日本に帰って試してみたいです」

――その感覚をキャンプ、オープン戦、さらには来季まで維持するためにはどうすればいいですか。
「やはりフォームの中で重視する点を自分でしっかり見極め、“ここさえちゃんとやっておけばいいピッチングができる”というものを見つけておけば、投げながら“今日は調子が悪いな”と思ったとき、自分でそこをチェックして立て直すことができると思うんです。いいときも悪いときも、自分で確認できる、自分自身の自信になるものを見つけて、日本に帰りたいですね」

――そうした軸になるものがあれば、1月の1カ月間、空いても大丈夫。
「そこを意識せずできるように、体にしっかり染み込ませて。クセを付けて、帰りたいです」

――オリックスから今季の派遣は3人がバッターで、富山選手が唯一のピッチャー。練習も試合中も一人になりますが、どうですか?
「最初は“どうなるんかな”と思っていたんですよ。でもこっちに来てみたら、普通にしゃべっていれば、なんとなく相手の言いたいことも分かるというか。だから、会話は一応できています」

――では、キャッチャーとのコミュニケーションも問題なく。
「そうですね。キャッチャーともいろいろ話しています。“今日は何がいいから、これを使って行こう”みたいな感じの話も、試合中にしています。だから、自分の投げたいボールもちゃんと投げられているんですよ。あとコルボーン投手コーチは昔、オリックスのコーチをしていた方で、日本語が結構しゃべれるので、一緒に話をしながらやっています」

――オーストラリアに来て、何か自分の中で変わった部分はありますか?
「こっちに来て、球種が一つ増えました。今まで自分が“ツーシーム”と言って投げていたボールが、結構速くて落ちる系の球なんです。“それはこっちではスプリットって言うんだよ。本当のツーシームはこれだよ”と言われて、投げ方を教えてもらいました」

――それはハマりました?
「はい。結構、試合の中で使っていますよ。日本でも早く使いたいです」

――日本に帰ったら、少しはお休みを取る予定ですか?
「休みは少し欲しいですけど、もう来年は勝負の年。休んでいるヒマはないと思っています」

――どんなピッチャーになりたいですか。
「先発・中継ぎ・抑え、“どこでも富山が行けば安心できるな”と言われるピッチャーにはなりたいですし、実際そういう期待をされていると聞いています」

――そのとき、富山投手の強みはなんでしょう。
「躍動感ある投球です。真っ直ぐでドンドン押していきます」

――度胸もかなりある。ここでも、それが見えていますよ。
「いつも“打ってみろや”という感じで、バッターに向かっています。また、ここに来て調子が上がってくるとともに結果も出てきてるんで、結構自信もついてきました」

――それはなによりですね。ちなみに奥様とお子さんへのお土産はどうしますか。
「嫁は、誕生日が12月20日なんですよ。でも僕はそのときまだオーストラリアなので、こっちでプレゼントは買っておきました。でも娘には、何がいいのかなってまだ悩んでいるところです(笑)」

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