富山凌雅(メルボルン)投手インタビュー「調子は上々。日本に帰って早く試したいことだらけです」
オリックスからメルボルンに派遣された4選手中、唯一のピッチャーが富山凌雅投手。孤軍奮闘かと思いきや、バッテリーのコミュニケーションも問題なく、ぐんぐん調子を上げている。日本で待つ家族に対してはもちろん、ピッチング面でのお土産もたっぷり、抜かりなし!
――ABLで投げ始めてから、どんどん調子を上げているようですが、ご自分としてはどうですか。
「いろいろ試して、それが結構ハマってきている感じですね。僕は下半身の使い方にややクセがあったんですが、そのクセが少しずつなくなってきていると思います」
――それは、オーストラリアでの課題にしてきた部分でしょうか。
「そうですね。こちらに来る前、(オリックスの)コーチにも“何か見つけられたらいいな”と言われていたんです。19年は調子の波が大きかったので、その波を少なくして、安定感を出したいなと思っていました。それにはやはりコントロールが必要だと思い、一球一球、何を意識して投げるかということも課題に持って来たんです。そこが自分的にハマっている感じで、徐々に調子も上がってきました」
――環境への慣れではなく、富山選手自身のピッチングがしっかり固まってきたんですね。そういう意味では、自分のピッチングができれば、こちらのバッターは抑えられる。
「逆に言うと、グラウンド状況、マウンドの固さなど球場によっていろいろ違うし、あと、こっちのボールはめちゃくちゃ滑るので、それにまだちょっと慣れ切れていないですね。そこに慣れれば、もっといい感じで投げられると思います」
――縫い目の大きさもちょっと違うそうですね。
「またボール一球一球、全然違うんですよ(苦笑)。なのでボールを持ったとき、違和感があるんです。そこを自分の中でなんとかできれば、もっといいピッチングができるかなと思います」
――ピッチャーは繊細な部分がなければいけないけれども、あまり神経質すぎてもいけない。そのバランスが難しそうですね。
「難しいですね。あまり気にしないのが一番なんですが、ピッチャーってみんな、何かしら気にすると思いますよ。こっちのロジンも日本と全然違って、滑り止めの役には立っていない感じで……(笑)」
――かなり鍛えられますね(笑)。
「だから今は日本に帰ったら、どのくらい投げれるんだろうっていう期待のほうが大きいです。今はボールをかなり気にしながら投げているので。日本に帰ったら、それを気にせず投げられるわけじゃないですか。そのとき、どれだけバッターに集中してミットを目掛けて投げられるか。それは早く日本に帰って試してみたいです」
――その感覚をキャンプ、オープン戦、さらには来季まで維持するためにはどうすればいいですか。
「やはりフォームの中で重視する点を自分でしっかり見極め、“ここさえちゃんとやっておけばいいピッチングができる”というものを見つけておけば、投げながら“今日は調子が悪いな”と思ったとき、自分でそこをチェックして立て直すことができると思うんです。いいときも悪いときも、自分で確認できる、自分自身の自信になるものを見つけて、日本に帰りたいですね」
――そうした軸になるものがあれば、1月の1カ月間、空いても大丈夫。
「そこを意識せずできるように、体にしっかり染み込ませて。クセを付けて、帰りたいです」
――オリックスから今季の派遣は3人がバッターで、富山選手が唯一のピッチャー。練習も試合中も一人になりますが、どうですか?
「最初は“どうなるんかな”と思っていたんですよ。でもこっちに来てみたら、普通にしゃべっていれば、なんとなく相手の言いたいことも分かるというか。だから、会話は一応できています」
――では、キャッチャーとのコミュニケーションも問題なく。
「そうですね。キャッチャーともいろいろ話しています。“今日は何がいいから、これを使って行こう”みたいな感じの話も、試合中にしています。だから、自分の投げたいボールもちゃんと投げられているんですよ。あとコルボーン投手コーチは昔、オリックスのコーチをしていた方で、日本語が結構しゃべれるので、一緒に話をしながらやっています」
――オーストラリアに来て、何か自分の中で変わった部分はありますか?
「こっちに来て、球種が一つ増えました。今まで自分が“ツーシーム”と言って投げていたボールが、結構速くて落ちる系の球なんです。“それはこっちではスプリットって言うんだよ。本当のツーシームはこれだよ”と言われて、投げ方を教えてもらいました」
――それはハマりました?
「はい。結構、試合の中で使っていますよ。日本でも早く使いたいです」
――日本に帰ったら、少しはお休みを取る予定ですか?
「休みは少し欲しいですけど、もう来年は勝負の年。休んでいるヒマはないと思っています」
――どんなピッチャーになりたいですか。
「先発・中継ぎ・抑え、“どこでも富山が行けば安心できるな”と言われるピッチャーにはなりたいですし、実際そういう期待をされていると聞いています」
――そのとき、富山投手の強みはなんでしょう。
「躍動感ある投球です。真っ直ぐでドンドン押していきます」
――度胸もかなりある。ここでも、それが見えていますよ。
「いつも“打ってみろや”という感じで、バッターに向かっています。また、ここに来て調子が上がってくるとともに結果も出てきてるんで、結構自信もついてきました」
――それはなによりですね。ちなみに奥様とお子さんへのお土産はどうしますか。
「嫁は、誕生日が12月20日なんですよ。でも僕はそのときまだオーストラリアなので、こっちでプレゼントは買っておきました。でも娘には、何がいいのかなってまだ悩んでいるところです(笑)」