より上へ。アピールの場としてのABL【後編】

四国アイランドリーグplus/香川オリーブガイナーズ・原田宥希投手の派遣事情

――原田選手は、どんな生活を送っているのですか?
中野 ニュージーランドに到着して1週間ほどは、他の2選手とシェアハウスに住んでいました。今後ニュージーランドにいる間は、日本人のご家庭にホームステイさせていただく予定です。

――ニュージーランド人のご家庭のほうが英語の勉強にはなりますが、食事などの面では安心ですね。
中野 そうですね。本当は英語の勉強ももっとできればいいんですが……。原田は16年にアイランドリーグ選抜で北米遠征に行ってホームステイした経験があるので、どこでも割とうまくやっていけるんじゃないかと思うんですよ。

――中野さんからご覧になった原田選手は、そういうメンタルも強い?
中野 ……環境の変化には、ちょっと弱そうなところもありますが(笑)。でも原田には、「アイランドリーグのMVPを獲った選手なんだから、そこは自信をもって行ってきなさいよ」と言って、送り出しています。きっといい経験ができていると思います。

チームのため、投げない日はマスコットに……!?

――オークランド、あるいはABL全体との今後の提携については、どのように考えていらっしゃいますか?
中野 これから両チーム間でしっかりした提携を結んで、毎年お互い2、3人ずつ選手を送り出せるようになればいいですね。スタッフも一緒に派遣するとか。場合によっては、お互いにスポンサー企業を連れてくることもできるのではないかと考えています。派遣を希望する選手は何人もいますので、オークランドだけでなく他チームも含めて道を広げていければいいですね。今回の派遣は、そこへのまず一歩です。

――スポンサー集めは、ABLでも大きな課題になっていますね。
中野 オークランドのオーナーさんとは、「お互い同じような状況なので、資金の問題やスポンサーさん集めなどにおいても協力できるところがあれば、やりましょう」とお話をしています。そのためにも、原田に関しては「NPBの選手と同じ扱いをしなくていいですよ」と。「チームのためになるのだったら、試合以外でもご自由に使ってください。日系企業へのあいさつに連れて行ってもいいし、チームの開催するイベントには積極的に参加させてください」とお話ししてあります。独立リーグでも試合の日、縁日のように綿菓子やポップコーンを作るなど、経験していますからね。独立リーグではそういった部分も含めてファンを獲得していく必要があるので、本人も十分わかっているはずです。私も原田には、「投げないときは、マスコットに入ったりしておいてね」と言ってあります(笑)。

――そうした面も含めて、お互いのチーム、選手にとってプラスになるといいですね。
中野 はい。原田は第1号になりますが、これまでいろいろな経験をして、野球のコンディション作りにしても、何にしても自分の考え方をしっかり持っています。向こうでも十分やってくれると期待しています。(敬称略)

Yuki Harada during a training session for the Auckland Tuatara baseball team©Andrew Cornaga / www.photosport.nz

 

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