より上へ。アピールの場としてのABL【前編】

Photo SMPIMAGES.COM/ABL MEDIA – Action from the China Air Preseason Series between the Brisbane Bandits v Auckland Tuatara, played at One Hub Stadium powered by Optus, Brisbane Australia.

四国アイランドリーグplus/香川オリーブガイナーズ・原田宥希投手の派遣事情

日本のオフシーズン、ABLはシーズン真っ盛り。今季ABLに新加入したオークランド・トゥアタラに、四国アイランドリーグplusの香川オリーブガイナーズから、原田宥希投手が派遣されています。
過去、香川OGからも寺田哲也、間曽晃平(2012/13ブリスベン)、冨田康祐(15/16メルボルン)のように個人でABLに参加する選手はいましたが、球団から派遣する形は、今回が初めて。派遣の経緯と、その狙いを香川OG・運営統括マネジャーの中野彰さんにうかがいました。

独立リーグの選手は、どんな環境でも順応力に自信アリ!

――今回、球団として原田投手を派遣した経緯をお聞かせください。
中野 (2018年)前期ウチに在籍していた元メジャー・リーガーのシリアコや後期途中加入したカルビン・グレイブスらのエージェントから、「ABLに新しいチームができる。そのうちの1つ、オークランドが選手を探している」という情報が入りました。一方でウチも選手の育成、強化は常に掲げており、お互いの目的がうまく合致した形で、話が進んでいきました。

――先方から、「こんな選手が欲しい」という具体的な希望はあったのでしょうか。
中野 「球の速いピッチャーが欲しい」という要望がありました。オークランド側も、代理人を通じてこちらの選手の情報は得ていたようですね。そこで候補に挙がったのが原田と秀伍。ただ2人ともNPBのドラフトが終了しないと正式な派遣が決められないため、そこまで待ってもらい、今回指名がなかったことで最終的に原田の派遣を決めました。「球が速いピッチャー」であることに加え、原田はサイドスローなので、向こうでも通用すると判断されたようです。

――派遣先のオークランドは、今季ABL新加入。しかもオーストラリア以上に野球が盛んでないニュージーランドのチームです。そのあたりの不安はありませんでしたか?
中野 初年度でかなりバタバタしているとは聞いていますが、私たち独立リーグの環境もそれほど恵まれているわけではないので、日常とそこまで変わらないでしょうし、心配はしていません。独立リーグの選手はそのへん、順応性があると思いますよ。

――原田選手には、どんな成果を期待していますか?
中野 原田はこの3年間、NPBの指名待ちをしていましたが、結局かかりませんでした。24歳という年齢を考えても正直、今後NPBに進むのは難しいかもしれません。でもABLへ行くことによって、例え可能性は低くてもアメリカ球界からオファーがあるかもしれない。その場合は、渡米してプレーする選択肢も本人は考えているようです。今回のABL行きは、野球の技術を高めることはもちろんですが、彼自身を十二分にアピールして、チャンスがあればアメリカでさらに頑張ってほしいと思います。(敬称略)

【第2回につづく】

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