千葉ロッテ・種市篤暉投手/ABL経験が今季8勝の踏み台に

Action from the 6th Round Match of the 2018 / 2019 Australian Baseball League between Auckland Tuatara and Adelaide Bite played at Blue Lakes Sports Park, Mount Gambier, South Australia – [Photo: Ryan Schembri – SMP Images / ABL Media]

昨2018/19シーズン、NPBからABLに派遣された9選手中、今季最も大きく成長を遂げたのは、千葉ロッテ・種市篤暉投手ではないだろうか。

シーズン最終戦、そう言って種市投手に話しかけると、「いやあ、僕なんか……。今永(昇太=横浜DeNA)さんじゃないですか」と照れ笑いの中、否定した。しかし、18年の0勝から、19年はプロ初勝利を含むシーズン8勝2敗。4月末から先発ローテーションに入り、特にオールスター以降はQS9試合と、エース級の活躍だった。規定投球回には届かなかったが、8勝と6つの貯金、勝率8割は、チームの先発投手陣NO.1の成績である。

飛躍の踏み台は、1年目のオフにあったと種市は振り返る。

昨年末、ABLの新チーム、オークランド・トゥアタラへ酒居知史投手、平沢大河選手と共に派遣された。
「初めての海外で、気持ちも技術も成長したと思います。メジャー経験のある選手2人をはじめ、みんなの練習の仕方や姿勢など、とても勉強になりました。オークランドで教わったトレーニングの中で、『ドライブライン』という球を速くするための、チューブを使ったトレーニングなど、今も試合前のルーティンにしているんですよ」

オークランドでチューブを使ったトレーニングを教わる種市投手(撮影:ABL Japan)

年明けには、福岡ソフトバンクのエース・千賀滉大投手と一緒に自主トレし、様々な助言をもらうこともできた。

「オフの過ごし方が良かったから、オープン戦でも余裕を持って投げられ、手応えが得られた。そこでまず自信を持って、シーズンに臨めたのが良かったですね。(4月29日、東北楽天戦で)プロ入り初勝利を挙げてからというもの緊張感もなく、マウンドで落ち着いて投げられるようになりました。昨年に比べると、どの球も技術が上がったと思います。いい球を投げるために練習から意識していることが、実戦のマウンドでもできるようになりました」

当初苦手だった立ち上がりは場数を積み、次第に良くなってきた。クイックも意識し、ランナーの足を封じた。「まだ2年目」とは思わず、「今季が勝負の年」と焦らずも急いだ“覚悟”の気持ちも、結果につながった。

マウンドで常に考えているのは、「ピンチのときこそ、相手に1点も与えないようギアを入れて投げる」こと。試合を作っていても、やはり失点は悔しい。ピンチのときこそ渾身の力を出せるよう、心身共に準備する。

今季は吉井コーチと約束した100イニングをクリア。来季は再び先発ローテで規定投球回クリア、そして自身の2ケタ勝利とチームの優勝を目指す。

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